2013年5月22日水曜日

超越する身 受け継がれる美

予想通り、先日のコンツェルト落ち着いて聴いてみるとここがいや、あそこがいやと気に入らないところが目立ってきました。なかなか練習と同じようにはいきませんね。緻密さが足りなさすぎて、良い勉強の材料になりました。また次の機会にむけて精進ですね。


なにはともあれ、自分への褒美になにか買おうかなって思ったのですがいざなにをとなると迷ってしまって決められません。以前書いたペンタブレットは勿論ですが、折角ならばお気に入りのお洋服屋さんでなにか、とか、美味しいものにしたほうが、とか…

ここ数ヶ月一番迷っているのは、セカンド楽器を購入しようかどうしようかです。少ないですが外で演奏する機会というのもありまして、そういう時に(こといまからの梅雨時期は特に)いつも使っている楽器でなく、外用の楽器のようなものがあってもいいかなと思っているんです。ただ選ぶとなると楽器屋さんも様々、楽器も様々で、どれがいいものやらくるくるしてしまいます。仕事柄クロサワバイオリンさんでよく楽器を見るのですが、品揃えが豊かなのでクロサワバイオリンさんだけでまず迷う迷う^^;
楽器というのはご存知の通り、時を越えてひとからひとへと受け継がれていくものです。時間も国も、使う者の性別も年齢も越えて、楽器は生まれた時から世界中を旅する運命なのです。だからいま日本の小さな楽器屋さんにある楽器は昨日までフランスにいて、手練れのおじいさんが長年愛用していたのですが訳あって楽器を手放したのかもしれないし、そのおじいさんの前は中学にあがりたての色の白い、そばかすがすこし目立つけど目の色がとびきり魅力的な緑色をした少女が使っていたのかもしれません。そしてその前には、アジアの投資家が資産として保有していたかもしれなくて、もっともっと前はどこかの名門の貴婦人がサロンで演奏する時に使っていたかもしれないのです。

ふと楽器を見つめる時、ひとつひとつの傷跡や、染みのあとを見ます。ここにあるのはきっと涙、こちらはこういう奏法の時に。前使っていたひとも湿気に弱いこの子に悩まされたのかしら、指板は何度削ったのかしら、ネックを替えたあと初めてこの子を弾いたのはどんなひとだったのかしら、わたしの前に弾いていたひとはどこの国のひとだったのかしら…

わたしの楽器はどんな景色を見て、どんなひととどんな音を奏でたのでしょう。どうかいま、わたしと一緒にいる時が一番、この子が気持ちよく歌を歌えているようにと願うのです。


今日も短め、すみません。今日は仕事や合わせや打ち合わせ。夜は何を食べましょう^^ぽにょぽにょになってしまうなあー(>_<)
星野沙織
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